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リピーターを増やす核カテゴリーを育成できるかどうかが不振克服のカギ月刊MD2010年7月号寄稿

不振店対策成果をどうはかるか

 不振店対策の成果がどこまで出たら成功と定義するかも重要だ。ひとつは、改善度合いを評価する。例えば、赤字だったものが黒字化した、まだまだ足りないけどマイナスからプラスに変えたという努力だけではなく、赤字のままだけども赤字幅を減少させたことも評価すべきである。ただ、「賞(=報酬)」と連動させるのであれば、収益改善の新たな評価を考えなければ、既存の評価体系の中での評価は難しいだろう。
 逆に、「売上を1割アップさせる」ことと「利益を1割アップさせる」ことについても明確な基準と正当な評価を行うべきだろう。
 ただし、売上あるいは利益を「5割増やす」ためには従前のやり方の踏襲では駄目で、ブレイクスルーが必要だ。中間流通を含めた抜本的な「売り方」の変更をしない限り、この数字は実現できない。
 今後の厳しい競争の中では、実はこのブレイクスルーができたかどうかも生き残りのファクターになることについて留意したい。不振店対策はあくまでも既存ビジネスモデルの延長線であり、重要なことは、不振店対策を行っていく中で、顧客の変化を捉え、新しい「売り方」を開発できるかどうかということである。
 新しい売り方の開発は、リピーターをいかに固定化し、ロイヤルカスタマーにするかということに尽きるだろう。
 その視点で考えれば、今売場で、ある用途機能が限定された商品を「今だけ」、「わが社だからできる」という販促で1ヶ月キャンペーンを張り、次の月はまた同じような用途で違う商品を展開すると、メーカーが異なり、別々にリベートをもらうためどうしてもそうならざるを得ない。しかし、お客様の立場からすれば、1ヶ月前にアピールしていたのは何だったのか、という話になる。これでは本当の意味でのリピーターは育たない。
 要は、"この店でこの商品をよく買ってもらえるお客様が多いので、バイヤーががんばって値付けをした"というメッセージではなくなる。お客様は店ではなくあくまでも商品ブランドで買うということを店が宣言しているようなものだ。つまり、お客様は店ではなく商品を信頼しているのである。
 最近、いわゆる製造小売業の商品も、商品開発のスピードがアップし、続々とラインアップされているが、古くからの定番の型番をなくしてしまうことで、リピーターを失うパターンも出てきている。
 製造小売業やDg.SのPB商品もABC分析によって商品の入れ替えが激しい。しかし顧客分析をしっかり行わないと、リピーターをつくっている商品を落としてしまうことにも繋がりかねない。
Dg.Sの場合、特に専門性というブランド展開を行う企業であればあるほど、効率一辺倒で商品を評価するとリピート率はどんどん低くなる。リピーターをつくらない限り、新しい需要創造はできないのである。
 結局、不振店というのは、価格競争に陥り、わが店の顧客という確固たるリピーターが来店する核カテゴリーを育成していない企業の店舗に生じるのである。